今始まるエクステリアショップのサクセスストーリー

   「エク・サス」
*みずきりょう著 *ワードデータ版 *2010年発行 *価格:2,000円(税込)

本当のエクステリアショップのサクセスストーリーが今から始まる。同時に、下克上の時代に入り、従来の有力店と新興店の勢力地図が激変する。このようなことを言うと、大多数のEX業界関係者は嘲笑するであろう。だが、それは事実だ。今まさにその幕が開こうとしている。

気づかぬ人が大部分だが、すでに数年前から準備は行われていた。そして実働の時代に入った。我々は、ユーザーのためにも、明日の業界のためにもこのチャンスを活かさなくてはならない。

では、サクセスストーリー実現の方法とは、正しい勝利者のあるべき姿とは・・・それを明確かつ具体的に示す・・・それがエク・サスだ。




「基礎編」






5章 「次世代型EXショップ」が市場を育成し未来を開く①




「次世代型EXショップ」の3ポイント

 この項では、「次世代型エクステリアショップ」とはどのようなものか、具体的に示していく。そして、旧態型エクステリアショップとの決定的違いも明確にしておく。

 奥歯にもののはさまったような言い方は避け、まず「次世代型エクステリアショップ」の必須3条件を列記しておく。

 

1:今買っていただけないお客様も多数来店していただけるショップ。

2:来店していただいたお客様に長く楽しく留まっていただける(滞在時間が長い)ショップ。

3:一度来店したお客様に繰り返し来店していただけるショップ。

 

 以上。「なんだ、そんなことかくだらない」と思うかもしれない。しかし、紛れも無く「次世代型エクステリアショップ」の絶対条件であり、我々に近い小売業が目指す一歩先を目指すショップの共通点でもある。言い方を変えれば、上記3項目の重要性に気が付かず、ほんとうに「くだらない」と感じた人は、小売業の基本を知らず、それに対し何の勉強もしていない・・・と言わざるを得ない。

 では、なぜこの3項目が重要で、それを満たしているショップと、満たしていないショップとの決定的違いはどこにあるのか。明確に示していくことにする。

 

狩猟型で市場を刈り取るだけの「旧態型EXショップ」

 「次世代型エクステリアショップ」と「旧態型エクステリアショップ」の違いを一言で述べるなら、「前者は市場を育成できるショップで、後者は市場を刈り取るだけのショップ」と言うことが出来る。そして、前者の道を選んだ小売業は発展し、後者のまま突っ走った小売業は崩壊の道を辿る、と言っても過言ではない。そして、eggでは次世代型を「農耕型ショップ」、旧態型を「狩猟型ショップ」と呼んでいる。

 このように書くと、「農耕型」より「狩猟型」のほうが派手で戦闘能力があり、有利なように感じる。それは一面の真理でも有る。その一面とは、草創期で未成熟な時代のみに限定され、一面の真理が通用すると言うことである。

 少し大袈裟かもしれないが、人類が文明を築いて行く過程で、大きな集落や都市を築く以前の、原始的時代は「狩猟・採集中心」の刈り取り型であったが、発展とともにそれでは生活できなくなり、「農耕」中心の育成&収穫型に移行したのと、まったく同じ論理と言える。商売と人類の歩みとは関係が無いという人もいるであろう。しかし、小売業の世界に限定しても、前記の通り、発展を続ける業界は必ずこの転機を向かえ、育成型販売への移行に成功している。

 分かりやすいよう事例を上げて説明しよう。例えば「車」の世界を見てみよう。昭和50年代頃までは、車の販売実績は優秀なセールスマンの手に握られていた。ディーラーのショールームは、単に信用のための拠点で、実際の販売交渉も殆どユーザーの家で行われていた。事実、世間では年収3,000万円を上回るトップセールスマンの講演に注目が集まり、彼等の本が飛ぶように売れた。

 しかし、その後新車の普及率がアップするに従い、彼等は販売方法を大きく転換する。具体的には、市場の成熟に合わせ、「営業至上主義」から「店舗を核とするシステム販売」に切り替えていくわけだ。同時に契約交渉もユーザーの家ではなく、殆ど店舗で行うようになる。この変化は、販売拠点の変化に焦点を絞ると、「営業拠点」から「店舗」への移行と表現することが出来る。

 この変化を遂げることにより、彼等は評価を高め、消費者の絶大な信用を得ることに成功した。現に、車を購入することで消費者が大きな被害をこうむると言った事件は極めて少ない。

 それに引き換え、歴史がありながら成熟することが出来なかったのが「着物」の世界だ。何も、着物を販売する店が悪いわけではない。しかし、着物販売で実際に力を持つのは、訪問販売やイベント販売業者だ。残念ながら、数では大半を占める町場の「着物店」は彼等を排除する力を持てなかった。その結果、着物そのものの市場をやせ細らせ、社会的に物議をかもし出す代表のような業界にしてしまった。

 もし、イベント屋のような業者を排除できる複数の有力専門小売チェーンが、圧倒的シェアを握っていたら、このようなことにはならなかったはずだ。

 この例が示している通り、殆どの商品・業界は狩猟型営業で急発展する。しかし、この段階で成熟市場に対応できる「農耕型」に移行できなければ、本当に社会に認知され発展を続けることが出来ず、衰退してしまう。

 ここで、着物業者の特色を整理してみよう。

 

1:買ってくれる人としか接点がなく、集客力のあるショップを持たない。

2:直接営業以外での滞在時間が殆ど無い(楽しく滞在できるショップを持たない)。

3:お客様が自主的に繰り返し来店するショップを持たない。

 

以上。つまりこれが「旧態型」の代表的形態で、「次世代型」と正反対であることが分かる。そして、残念ながら住宅関連業界では、ほとんどが「旧態型」の販売形態のままであり、少なくとも、リフォーム市場においては未来につながるような、ショップがまったく育っていない。その結果、反社会的な行動ばかりが目立ち、市場は少しずつ衰退傾向を辿っている。

 エクステリアにおいても、リフォーム業界と全体の状況は良く似ている。しかし、一部ではあるが「次世代型EXショップ」が育ってきており、将来の可能性が少し見えてきている。この事実を冷静かつ正確に把握してほしい。