今始まるエクステリアショップのサクセスストーリー

   「エク・サス」
*みずきりょう著 *ワードデータ版 *2010年発行 *価格:2,000円(税込)

本当のエクステリアショップのサクセスストーリーが今から始まる。同時に、下克上の時代に入り、従来の有力店と新興店の勢力地図が激変する。このようなことを言うと、大多数のEX業界関係者は嘲笑するであろう。だが、それは事実だ。今まさにその幕が開こうとしている。

気づかぬ人が大部分だが、すでに数年前から準備は行われていた。そして実働の時代に入った。我々は、ユーザーのためにも、明日の業界のためにもこのチャンスを活かさなくてはならない。

では、サクセスストーリー実現の方法とは、正しい勝利者のあるべき姿とは・・・それを明確かつ具体的に示す・・・それがエク・サス

だ。


「マーチャンダイジング編」

 

 

11章 「マーチャンダイジング」とは何か④



「A、Bゾーン優先」の原則を認識せよ

 では、A、B、C、D各ゾーンの活用の仕方にはどのようなセオリーがあるのか。まず第一番目が「A、Bゾーン優先の大原則」だ。そして、この原則は、新規店・売り上げが少ない店は「Aゾーン最優先」、地域一番店あるいはそれを目指す有力店は「Bゾーン最優先」へと続く。

 要するに、力の無い店は良い格好をせず「集客第一主義」で行きなさい。そして、販売力が付いてきたら、「集客+主力商品強化策」を積極的に打ち出しなさいと言うことだ。

 この方式は、どの業種・業態でもほぼ守られている。いや、守られている業種・業態・企業は安定的な実績を維持し、無視している業種・業態・企業はそれが出来ない。そして、我々の属する住宅産業の少なくとも既存住宅対象分野は、後者の代表的存在でまったく安定した実績が残せていない。

 我々が目指すのは、売り上げが小さくても、大きくても、「専門店」である。したがって、ディスカウンターのように、80%以上が「集客商品(ゾーン)」と言うわけには行かない。したがって、例えばチラシ・ホームページ・店舗の構成を考える時、年1億円以下(1店舗)のショップは「集客商品(ゾーン)・集客企画」40%、基幹となる「主力商品(ゾーン)」プラン・作品集40%、その他の会社案内・路線説明20%、と言った比率が基本となる。

 一方、年商1.5億円以上(1店舗)のショップは、「集客商品(ゾーン)・集客企画」20%、「主力商品(ゾーン)」40%、その他40%、と言った比率を基準に、より総合力をアピールする戦術を打ち出すことが必要になる。

 第二番目は、Cの「未来商品(ゾーン)」、Dの「サービス商品(ゾーン)」は、主役にしてはならないと言う原則。ただし、無視すると言うことではなく、小さなスペースで定番的に、きっちりとアピールすることが大切になる。さらに、前記の店舗の販売力に照らし合わせ表記すると、1億円以下のショップは特に控え目に、1.5億円以上のショップは少しウエイトを上げアピールすると言うことが基本となる。

 ところが、エクステリアショップの場合は、殆ど販売実績がないのに、Cの「未来商品(ゾーン)」に属する、極端な高額商品を前面に打ち出す、展示場作り、チラシ構成を行い失敗しているケースが非常に多い。小売に対する極端な勉強不足が、このような間違った路線を打ち出させる、最大の要因であることは言うまでもない。

 一方、Dの「サービス商品(ゾーン)」を前面に打ち出し失敗している例もよくある。このタイプはエクステリアよりむしろリフォームショップに多い。クロスや襖の貼替え、補修、鍵の取替え、水漏れの修理など、膨大な営繕系の項目をメインに掲げ、チラシ作りを行っているような例だ。

 チェーンを作り「水廻りの修理」に特化している場合い、鍵だけのチェーンなど、特殊な業態の場合は別だが、少なくとも地域密着型でのショップ展開を目指す場合い、このような方式はまず成り立たない。リフォームショップもまた、小売に対する研究をあまりに疎かにしたため、このような失敗が目立つようになったと言えよう。

 要するに、A、Bゾーン優先C、Dゾーンの的確な活用と言う、マーチャンダイジングの基本がまったく無視され失敗している典型が、エクステリアでありリフォームであるわけだ。

 ところが、さらに不思議なのはホームセンターの場合だ。彼等は、本業となる物販に関しては、マーチャンダイジングの基本をある程度マスターし、それに即した品揃え、陳列、価格設定、販促活動を行っている。間違ってはいけないのは、決してAの「集客商品(ゾーン)」だけで勝負しているわけではない。売り上げと利益の基本は、彼等なりのBの「主力商品(ゾーン)」にあることも、冷静に分析すれば分かる。

 しかし、ことエクステリアとリフォームに関しては、この原則が無視されている。ほとんど底物と言われる、目玉商品しか扱っていないからだ。もちろん、短期的には少し高額な商品を展示したりすることはあるが、実績に結びつかずすぐ撤退してしまう。したがって、少なくとも、これまでは彼等の存在が脅威になることは殆どなかった。

 しかし、エクステリア、リフォームの分野でもマーチャンダイジングの基本に忠実に、しかも長期的な販売作戦を展開するようになれば、我々にとり「要注意」と言うことになり、チェックのためのバロメーターにもなる。

 他人のことはともかく我々自身が、このマーチャンダイジングの大原則を頭に叩き込み、もう一度販売戦略を考えなおすことが先決だ。

 

 それでは、大原則をベースとした、店作りを具体的にどのように行っていけば良いのか、分かりやすく提示していくことにしよう。