今始まるエクステリアショップのサクセスストーリー

   「エク・サス」
*みずきりょう著 *ワードデータ版 *2010年発行 *価格:2,000円(税込)

本当のエクステリアショップのサクセスストーリーが今から始まる。同時に、下克上の時代に入り、従来の有力店と新興店の勢力地図が激変する。このようなことを言うと、大多数のEX業界関係者は嘲笑するであろう。だが、それは事実だ。今まさにその幕が開こうとしている。

気づかぬ人が大部分だが、すでに数年前から準備は行われていた。そして実働の時代に入った。我々は、ユーザーのためにも、明日の業界のためにもこのチャンスを活かさなくてはならない。

では、サクセスストーリー実現の方法とは、正しい勝利者のあるべき姿とは・・・それを明確かつ具体的に示す・・・それがエク・サス

だ。


「マーチャンダイジング編」






12章 商品開発の重要性とポイント①




店作りと商品開発の関連性

 「マーチャンダイジング」の基本について述べたが、では我々は実際にどのような商品を開発し、店舗を通じどのような販売を行えばよいのか。

 まず、商品開発についてだが、ここに2つの決定的間違いがある。1つは「商品はメーカーが作るもの」という考え、2つ目は「商品の値段は原価に利益を上乗せし決定される」と言う考え方である。

 1つ目の間違いはどの業種でも良く見られる。しかし、社会が成熟化すると、消費者側の立場が強くなり、その意見が反映されないと売れなくなる。そこで、最前線にある小売企業がその要望を正確に把握し、メーカーにフィードバックし適切な商品が開発されなければならない。しかし、特に建築や住宅関連では、最前線からの情報が入らず、売れそうも無い商品がメーカーの独断だけで続々と開発される頻度が極めて高い。もちろん、それが開発品目の無駄ともいえる多さにもつながる。

 上記に加え、我々の場合は大半が「施工付きの商品」を販売している。つまり、商品と言っても「部材」であり、最終的に完成させるのは販売・設計・施工関連企業である。したがって、大手メーカー製品、資材として流通している材料、その他のアイデア次第では使用可能な関連材料をもっと研究し、より素晴らしい作品作りに結びつける努力をする必要がある。

 2つ目の「最終値段の決定の方法」については、1つ目の課題以上に建築関連企業の間では、間違った考え方が蔓延している。

 具体的には、値段と言うものは、市場のニーズに合わせ決定されるものであり、原価に利益を加え決定されるものではないと言う、経済の原則を無視いていると言う事だ。このように書くと、エクステリアの関係者は大半が「何を馬鹿なことを」と嘲笑するであろう。それは「見積もり」と言う基本的システムにより、ある程度は仕方が無い。しかし、この考え方で、ある程度受注できてきたのは、結果として「見積価格」が市場の要求する範囲内に収まっていたに過ぎない。

 ただし、そのズレは次第に大きくなってきている。なぜなら、市場のニーズが成熟と共に次第に厳しくなってきているからだ。下請けの場合い、業者の要求がまったく無視され、利益を確保できない状況で受注せざるを得ないという現実も、広義にとらえればこの結果によるものだ。

 この状況を打破するには、「原価+利益=見積価格」と言う発想を白紙に戻し、「①市場ニーズの分析による販売価格の設定=②価格クリアのための商品(部材)選定+③価格クリアのため研究した施工方法」へと、意識変更する必要がある。

 両者の決定的違いは、まず発想していく順番にある。つまり、①の「市場のニーズを掴む能力とそこから算定された価格」が第1番目に来るということ。そして②③の研究によりそれをクリアすると言うことだ。

 2番目は、1つの商品を完成させる材料、施工方法は決して単一ではなく、様々な選択肢があることを再認識すると言うこと。

 そして、このような価格決定方法は、成熟した業界・商品では当然のこととなっている。むしろ、建築関連業界だけが、成熟・一部衰退段階に入っているにも関わらず、積み上げ方式に固執したまま止まっていると見てよい。これでは、発展など望めるはずが無い。

 例えば、トヨタが新型の「エスティマ」を開発中とする。そこでまず決められるのは、お客様のニーズを満足させることが出来る内容+購入可能な価格ラインだ。次に、その課題をクリアする製造・流通システムを徹底的に研究し、実現できた車のみが発売される。

 ニーズを100%盛り込み、それに原価と利益を足し売価が決まるわけではない。もちろん、現場ごとに見積もりを行う、我々の世界と車とでは事情が異なる。しかし、それでも価格に対する意識改革は絶対に必要だ。