「日本庭園と日本外構」:NO250

作庭書「築山庭造伝・後篇中」⑧!

 


「築山庭造伝・後篇中」
・・・秋里離島著 1828年の作

 

注意事項:「築山庭造伝・後編」に関しては、他の作庭書以上に図面・イラストが多用されていると推定されるが、残念ながら中谷ゼミ資料に同添付はない。

 

9:草木の扱い方に関する事

*苔は、取ってきた時に痛まないよう注意し、さらに水をタップリと含ませてから植える。固定させるため、ある程度踏み付けて植えても良い。苔が不足した場合は、細かく分けて土を加えて増やし植えこむ。そして、適度に水やりを行う。タイミングとしては、春が良く、1ヶ月あまりで活着する。つまり、夏には立派な苔庭となると言う事。ただし、陽射しの強いところは避けるべきだ。また、苔は砂地を嫌い、黒土を好む。

 

*萩を植える場合は3月が良い。草木の共通点でもあるが、何らかの弱さを持っている。だから、強くて勝手に育つなどと思ってはならない。また、肥料を与えすぎても枯れてしまう事がある。特に、6月(旧暦)の土用後には施肥を行わない。さらに、花が咲き終えるとすぐに剪定する事。

 

*山吹を育てる場合は、植え替えを頻繁に行ってはならない。新芽は寒さが厳しいとすぐ枯れてしまう。山吹は春に花を咲かせる植物であり、秋の手入れがポイントとなる。そして、水辺の植物であり、水が少ない山などでは、花が小さく少なく、色も悪くなる。管理方法としては、秋〜冬、または花が咲き終えた後に、枝葉を整え肥料を施す。こうすれば、翌年の花付が良くなる。

 

*カキツバタは23年に一度植え替える。そうしないと花が小さくなる。泥が深くあるのは良く、浅いのは良く無い。花が枯れた後20日が経過した頃に刈り取る。ただし、四季咲きは刈り取らない。

 

*万年青(オモト)と藜蘆(シュロソウ=原産地日本の薬草。ただし、ここでの藜蘆が同じものか否かは不明)は黒土に砂を混ぜて植える。鉢植えとは異なり地植えの場合は、上品に見えるように注意する事。全体的には鋤形でややまばらな感じが良い。石菖(セキショウ)・山梔子(ヤマクチナシ=クチナシの実で作る漢方薬。ただし、ここでは山梔子がクチナシを指すのか不明。記載内容に矛盾があるため)など水辺の植物もほぼ同じ扱いとなる。

 

*桜は剪定を嫌う樹木だ。植える時も大きな木は接ぎ木でなくてはならない。また、苗木の大小にかかわらず、根を切ってしまっては着かない。だから、枝も根も切ることなく活かして育てる。複数の種類を植える時は、桜と桜の間に松を植えると良い。松の変わらぬ緑と、濃淡のあるピンク系の桜の花が見事に調和するからだ。

*紅葉(モミジ)は湿った土壌を好む樹木だ。また、剪定しすぎると枯れる。そして、小さな苗木から育てるようにしなさい。また、陽当たりが悪いと紅葉しないのでこの点も注意する事。陽春に植えると大きな木でも着きやすい。しかし、3年以内に突然枯れることもある。この点を考慮し手入れを良く行うこと。もっとも、大きく育つと施肥の必要もなく楽になる。とにかく、紅葉(モミジ)は葉に陽を良くあてる事。これがポイントだ。

 

*松の植え替えは102月(旧暦)に行う。新しく掘り上げた木は、1月の終盤(ただし旧暦なので早春と言う事)に植えるのが一番良い。新しい葉が全く生えてこない時期は逆に避けるべきだ。要するに、寒さに向かう秋~冬より、温かさが増してくる早春~新しい葉が育ってしまうまでの間が良いと言う事。そう覚えておきなさい。

 

植えた後は毎年細かな管理作業を行う必要はない(むしろ、毎年の剪定は不可)。ただし、葉の整理は絶えず行う。ここが松と他の木との相違でもある。他の樹木は毎年剪定しても、再度枝葉が伸びる。そのような強い根を持っているからだ。しかし、松は根と葉が揃って初めて育つ。だからこそ、剪定ではなく葉の整理を行うことで健康な木となる。この他、松は湿気が多く水はけの悪い土地を極端に嫌う。だから、山地で良く育つ。同時に、その枝の伸び方に独特の魅力がある。土壌が適した、池や湖の近くに松がある時は、枝がよく伸びて最高だ。

 

松は植え方・育て方を覚えれば、決して難しい樹木ではない。多くの人は、そのポイントを知らないから失敗する。例えば、地上に根が出たときは切っても良い。腐った根も切るべきだ。根鉢は崩さないようにする。植え込みの時は、深くならないよう(浅植えにする)にする。云々。

 

一口アドバイス。

「植栽編分かりやすく参考点多し。桜・松等については特に注目!」

(みずき りょう)


250:シュロソウ

藜蘆(シュロソウ) 


250:セキショウ
  
石菖(セキショウ)